なぜ?なに?お答えします!野菜Q&A

3月に入ると、少しずつお問い合わせの電話やメールが届きます。トマト・ナスから始まり、エンドウが蒔き終わる11月下旬まで、作り方や上手くできないなど。そのお問い合わせ内容から、頻度の多い事例を公開します。もちろん、栽培時期や状況などによって必ずしも当てはまらない場合がありますが、問題の解決にお役立てください。

トマト

ナス

花は咲くが落花してしまう

低温、または逆に高温の影響が考えられます。
他にも栄養不足も落花の原因となります。第1、第2花房では、定植後の水分・養分が正常に吸収されず、低温が続くと受精不良になってしまい、落花してしまいます。
第4~5花房など上のほうは、下の段の果実が良くできたときに追肥を怠ると、栄養不足で丈夫な花が咲きません。
この時期になると気温が上がってきますので、高温による落花も増えてきます。
対策としては、栄養不足にならないよう注意することや、結実を確実にするため、ホルモン剤などを使用すると良いでしょう。

夏頃、急に株全体がしおれてきた

順調に育ってきた株が、急にしおれてしまうのは、青枯れ病の可能性があります。 同じ場所に同じ野菜を作る連作が大きな原因で、発病したら直らないので早めに抜き取り、畑の外で処分してください。
また、湿度の高い場所だと発生が多くなりますので、高畝にしたり水はけの良い場所で作ることをおすすめします。

ナス

ナス

収穫した実が硬く、つやがない

ナスは夏場の乾燥に弱く、乾燥すると生育が悪くなり、実の皮が硬くなることがあります。 対策としては、梅雨明けたら畝に敷きわらなどをして、株を乾燥させないようにします。雨が降らない場合は株間・畝間に水をたっぷり与えてください。
他に受粉・受精などが正常に行われず、「石ナス」になっている可能性もあります。収穫が始まる時期に低温が続くと発生が多くなります。

花は咲くが落花してしまう

トマトと同じように、低温、または逆に高温の影響が考えられます。また、栄養不足も落花の原因です。
特にナスは多肥を好みますので、開花期などは肥料が切れないように追肥をしてください。
他に葉の茂りすぎ・風通し・日当たりが悪くなると落ちやすくなります。

キュウリ

キュウリ

実が曲がってしまう

主に生育後半に多くみられ、原因は養分・水分の不足によるものがほとんどです。
対策としては、追肥を確実に行うことです。キュウリは収穫期が長く、つぎつぎと花を咲かせますので養分不足になりがちです。
定植後、月に2~3回程度は追肥を行い、収穫終了まで肥料を切らさないようにしてください。
乾燥させないためには、敷きわら・マルチなどが効果的です。

雌花が咲かず、実がつかない

元肥や追肥などで窒素分を多く与えてしまい、樹勢が強いためだと思われます。
他にも水分が多い、高温などの影響で実がつかないことがあります。
また、親づるにつかず、小づる・孫づるにつく品種もありますので、注意が必要です。

トウモロコシ

トウモロコシ

雄花が咲いてしばらくしたら枯れてしまった

アワノメイガによる被害だと考えられます。アワノメイガは雄花が咲く頃から発生し、葉のつけ根辺りから茎の中に入り、雄花や雌花(実になる部分)を食害します。
対策としては、茎などに穴が開き、アワノメイガのふんが出ていたら至急農薬を散布してください。予防するには、雄花が出始める頃と雌花が出始める頃に農薬を散布してください。

株元から出たわき芽はどうすればいい

ほとんどの品種はそのまま伸ばしても問題ありません。むしろ倒伏防止や光合成の促進効果など、プラスの面が多いと言われています。
しかし、わき芽に付いた雌花は栄養分が取られますので取り除いてください。ちなみに雌花は1株に1本。最上部のものを残してください。

草丈が50センチ程度で雄花が咲いてしまった

移植が遅れたり、老化した苗を植えたりすると、草丈があまり伸びずに雄花が咲いてしまうことがあります。
その後、多少回復するものもありますが、ほとんどが小さい実しか出来ません。時期が間に合えば畑に直接蒔きなおしするのが確実です。

インゲン

インゲン

収穫した実が硬い

インゲンは収穫が遅れるとサヤが硬くなります。
これは「つるあり」「つるなし」両方とも一緒で、サヤが硬くなるどころか株自体も弱りますので、開花後1~2週間程度、10センチ程度の若いサヤを早めに収穫してください。「つるなし」は収穫が一斉になる場合があるので、種を蒔く時期を10日おきぐらいにずらすと収穫時期を分散することができます。

つるなし品種なのに、つるが出ている

株間が狭すぎたり、日照不足や窒素肥料が多かった場合など、条件によって生育バランスが崩れて伸びる場合があります。
対策としては、肥料は元肥で済ませるようにします。株間を適正にとり、密植にならないよう注意してください。つるが伸びてしまった場合は、摘芯するか支柱などに誘引します。

エダマメ

エダマメ

葉ばかりになって、実がつかない

窒素肥料の与えすぎが主な原因です。
枝豆の根には、根粒菌という微生物が寄生し、根コブのようなものができます。その根粒菌が空気中に含まれる窒素を土中に取り込んで、根に栄養を与えてくれます。
そのため、窒素肥料を多くあたえると根から窒素分が過剰に吸収され、茎や葉が徒長し、結果的に実つきが悪くなります。
対策としては、他の作物より窒素分を控えるようにしてください。また、株間も広めにとってください。他に、晩生種を早く蒔いてしまうと同じように葉ばかりになるので、早生種などと一緒に蒔かないようにしてください。

発芽が悪い

地温が低いと発芽しないので、十分に暖かくなってから蒔くか、マルチなどと併用して蒔いてください。
枝豆など豆類は種が大きく、土中に水分が多いと腐りやすくなります。発芽を良くしようと一晩水に浸けてから蒔いたり、土が乾いていないのに毎日水やりをしたりなどは避けてください。

エンドウ

エンドウ

春になってもつるが伸びず枯れてしまった

エンドウは、冬の間は地上部が伸びず、茎先のほうは枯れてきます。しかし、根は育っており、春先になると急激に生長します。
他にも春先になってもつるが伸びず、葉が黄色く変色したりすることがあります。これは連作障害の影響だと考えられます。
対策としては、4~5年は同じ畑で作らないようにするしかありません。症状が出てからだと治療は非常に困難です。
収穫時期は遅くなりますが、春蒔きもできますので、違う畑でもう一度蒔かれると良いでしょう。

同じエンドウで、赤花と白花では何が違う

主に品種の差ですが、同じ品種で赤花白花と両方あった場合は、特に大きな違いは無いようです。地域によって好まれる色もあります。

ホウレンソウ

ホウレンソウ

発芽したが、すぐに葉が黄色になり枯れてしまった

水分不足の可能性もありますが、ほとんどが土壌が酸性の場合に発生します。
ホウレンソウは、野菜の中でも特に酸性土壌に弱く、中性~弱アルカリ性の土壌で良く育ちます。酸性(pH5以下)の土壌では、発芽しても枯れてしまいます。
対策としては、種を蒔く2週間程度前に、苦土石灰を1平方メートルあたり3~4握り土中に混ぜ込み中和します。

花が咲いてしまった

ホウレンソウは日長性の野菜で、昼の時間が長くなるほど花が咲きやすくなり、春蒔きだと生育初期の低温に促進され、小さくても花が咲きやすくなります。
秋蒔きの場合は昼の時間が短くなるのでほとんど咲きません。
しかし、道路・商店の街灯や自動販売機、カーテン越しの明かりなど、夜間でも光が当たる場所ですと花が咲く場合があります。

ハクサイ

ハクサイ

結球しない

秋蒔きの白菜は播種時期が他の野菜に比べて狭く、播種が遅れたため結球に必要な葉数が確保されないうちに低温にあってしまったため、結球しなかったと考えられます。
都合で、播種が遅れた場合は早生系の品種を蒔いてください。
春蒔きでは、主にとう立ちによる影響が大きいので、大根と同じように晩抽性の品種を選んでください。春・秋蒔きとも、日照不足、窒素の過剰施肥、土の乾燥・過湿なども結球を遅らせる原因になります。

葉がしなびて、抜いてみると根にコブのようなものができていた

根コブ病の症状です。水はけの悪い畑や、アブラナ科の野菜の連作が主な原因です。根コブ病は一度発生すると畑に菌が残り、毎年被害が出やすくなります。
対策としては、作付け前に殺菌剤を土中に混ぜ込むか、CR(根コブ抵抗性)の品種を蒔くようにしてください。 病気にかかってしまったら、薬を使っても治らないので、病気にかからないようにすることが重要です。

レタス

レタス

適期にタネを蒔いたのに発芽しない

秋蒔きの適期である8月下旬~9月上旬(関東標準)では、気温の高い日も多く、発芽適温の15~20℃を超えてしまい、発芽しにくなることがあります。また、レタス類のタネは好光性なので、覆土が厚いとタネに光が届かず、発芽しない可能性もあります。

葉がとけてしまった

ナメクジやカタツムリの食害や、強風などの被害により葉が傷ついたり破れたりすると、そこから病気に感染しやすくなります。
葉がとけたり褐色になってきたら、ベト病や軟腐病の可能性があります。病気になると回復が困難ですので、食べられる部分があれば収穫、その他の部分は畑の外に捨ててください。
生育初期から寒冷紗などを掛けると、害虫の侵入を防いだり、風による被害を抑えたりすることが出来ます。

ニンジン

ニンジン

収穫したら裂根(割れ)していた

生育中に土壌中の急激な水分変化があると割れることが多くあります。例えば、しばらく雨が降らず、急に雨が降ると割れる確率が高くなります。また、とり遅れた場合や害虫におかされても割れてしまいます。

発芽が悪い

もともと人参の種は、発芽率が50~60%程度と発芽しにくい部類です。最初から厚めに蒔きましょう。種子は小さく、好光性(光があったほうが良く発芽する性質)のため、覆土は薄くします。種蒔き後、土が乾燥すると発芽が悪くなりますので、もみがらや薄くワラを敷いて水をやり、乾燥させないように注意してください。

ダイコン

ダイコン

花が咲いてしまった

春蒔きの大根で多く、この現象を花芽分化・とう立ちと言います。
発芽時以降12℃以下の低温がつづくと、花芽ができ、その後15~20℃の高温・長日でとう立ちします。他にも、収穫適期を過ぎてもとう立ちします。大根の品種を選ぶ際には、晩抽性が付いていることを確認してください。また、早蒔きする際にはトンネルやマルチをして、低温にならないよう注意してください。

二股に割れてしまった

大根は地中深くまで根を伸ばすので、土の中の雑物(石・肥料・ごみ)などに当たると股になってしまいます。
また、害虫におかされても同様に割れてしまいます。稀にですが、水はけの悪い畑でも割れる場合があります。対策としては、土作りの際にきれいに雑物を取り除き、種を蒔いた真下に未熟な堆肥や化成肥料を入れないようにしてください。

カブ

カブ

収穫したら裂根(割れ)していた

人参と同じように、生育中に土壌中の急激な水分変化があると割れることが多くあります。対策としては、2~3日雨が降らない場合、少しずつ水を与えたり、適期に収穫したりすることを心がけてください。

収穫したら先が尖ったり、変形したりしていた

根が肥大する時期に高温・乾燥など、ストレスがあると変形することがあります。天候によるものは難しいですが、事前に土質を改善するなどの対策が必要です。

ネギ

ネギ

茎が太くならず細い

土よせが早すぎたり、土を一度に厚く掛け過ぎたりすると、生育が抑制されて太くなりません。手間が掛かりますが、土よせを数回に分け、少しずつ行ってください。収穫までに3~4回、分けつ部分の下まで土が掛かるようにしてください。

葉の部分に赤い粒が付いており、触ると粉っぽい

「赤さび病」が発生していると思われます。ネギの病気で一番問題になる病気で、肥料不足や低温、春は梅雨時期・秋は10月頃など長雨になると発生が多くなります。連作しても発生が多くなります。発生したら殺菌剤などを散布し、被害の酷いものは抜き取り、畑の外で処分してください。

その他

発芽しない

発芽しない

そもそも、種が発芽するには適当な温度、水分、酸素の3つの条件がまず必要です。種類によっては光があったほうが良く発芽するもの、暗黒のほうが良く発芽するものがあります。主に芽がでてこない原因としては、次のようなことが考えられます。

蒔きどきが不適切:発芽適温に対して、地温が低すぎたり、高すぎたりしたために発芽まで日数がかかり、土中で腐敗菌に侵されてしまった。

水分の過不足:潅水を多くしてしまった。また、長雨のため過湿になり酸素が不足した。反対に、雨などが降らず乾燥して水分の供給が不十分だった。

覆土の仕方が悪い:基本的に覆土の目安は、蒔こうとする種の厚さ2~3倍です。しかし、好光性の種や発芽力の弱い種類(ニンジン・ネギなど)は、覆土が厚すぎると発芽が悪く、反対に嫌光性の種はある程度覆土を厚くしないと、発芽が悪くなります。

肥料やけ:施した肥料がまき溝にたまっていて、種から出た根が伸びることができず腐ってしまった。

種が悪い:種の保存状態が悪い、種が古いなど、発芽力が低下していた。


発芽の条件って

発芽の条件って

タネが発芽するには三つの大きな条件があります。

温度:発芽のよしあしは温度条件に左右されることが多く、高すぎず低すぎずの適温があります。野菜ごとに発芽適温は違いますので、種子袋などで確認してください。

水分:発芽するさいには、種子の重量にほぼ等しい重量の水分を吸収します。こちらも多すぎても少なすぎても発芽しません。

酸素:タネも植物ですから酸素がないと発芽しません。土が湿りすぎて酸素不足により発芽不良になることもあります。さらに「光」も必要な野菜もありますので、注意が必要です。


タネが余ってしまった

タネが余ってしまった

野菜の種類にもよりますが、ビンやタッパーなど密閉容器に入れ冷蔵庫に置いておき、保存状態が良ければ次の年も蒔けます。
しかしながら発芽は悪くなりますので、確実に苗・株数を確保するには新しいタネを購入することをおすすめします。

小松菜など春秋蒔ける物は春の残りを秋に使えますが、秋大根を次の年の春に蒔くと花が咲きます。これは白菜・ほうれん草などにも言えることで、基本的に秋蒔きのタネは晩抽性などを持っていないので、このようなことが起きます。


肥料の三大要素って

肥料の三大要素って

野菜の生育に必要な成分(要素)のことで、その窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)のことです。
窒素は葉や茎を育てる働きがあり、主に葉菜類に重要で、リン酸は実の肥大に関係し、果菜類などに欠かせない成分です。

カリは根の発育を良くする働きがあり、根菜類には特に重要ですが、根の発育と言う部分では、野菜全般に必要な成分です。
他にも微量要素・中量要素がありますが、堆肥などを使うことにより補えるものがほとんどですので、特に気にしなくても大丈夫でしょう。


害虫・病気の種類が分からない

害虫・病気の種類が分からない

野菜の種類、品種の増加により様々な害虫・病気があります。
害虫については、調べれば殺虫剤などで対応出来ますが、病気の場合は見分けが難しいものや、正確な対処が出来ない場合があります。害虫により病気になったのか、環境なのか、生理障害なのかなど、こればかりは経験が必要になってきます。


タネに赤や青の色が付いている

タネに赤や青の色が付いている

種に色が付いている場合、ほとんどが殺菌剤などの薬剤処理がされています。
発芽するまでの病気を防ぐためで、収穫までにその成分が残ることはまずありません。
他にもコーティング・ネーキッド処理をしたもの、ロットを分けるために着色だけする場合もあります。